業務概要
船舶向けデータ通信サービスを提供しているM社様では、顧客に提供している商品(無線データ通信機器の提供と保守、船内Wi-Fi環境の構築と保守)について、顧客からの商品問合せ〜見積〜受注〜機器発送〜設置〜保守〜請求〜解約という一連のサービスを顧客に提供しています。
顧客情報、案件(契約)ごとの進捗管理、顧客に納品する/納品後の機器管理、顧客対応履歴(コールログ)などをexcelファイルで管理していました。
問題点
事業の立ち上げ当初からこれらの業務管理をexcelファイルで行なっていたため、サービス提供開始から10余年を過ぎ、業務を行う上で様々な課題を抱え、業務のやり方の見直しが必要となりました。
- 契約件数が600件を超えてexcelのファイルサイズが大きくなり、動作が遅いなどの問題があり、これ以上excelファイルで案件の管理をするのが困難となっていた。
- 案件ごとに管理する項目が多く、一つの案件情報を見るために横にスクロールしなければならず、案件全体の把握がしづらい。
- 契約状況や進捗状況の管理に関する記載方法などの運用が属人化してしまい、他の担当者が状況を把握するのが難しい。
- 顧客情報などのデータが散在して一元的な管理がなされておらず、情報を探すのに余分な時間を要していた。
- ファイルサーバー上で共有ファイルとして管理していたが、複数人が同時にファイルのアクセス(編集)ができず待ち時間が発生し、効率が悪い。
アプリケーション開発の目的・目指す効果
業務のシステム化(この場合は、クラウド上のデータベースの利用)を進めるにあたって、目的と目指す効果を設定しました。
主なものは以下の通り。
- 一連の業務の中で発生している無駄なプロセスを省き、生産性の向上を目指す。
- サイズが大きなexcelファイルを開くことなく業務を行ない、動作が遅いことによるネガティブをなくす。
- データを一元管理すること、データの作成・記入ルールを規定することで、担当者不在でも他の担当者が対応可能とする。
- 情報を整理、探しやすくして、「あれはどうなっている?」を素早く解決できる様にする。
- 複数の担当者が同時に情報にアクセス(参照、編集)することができ、待ち時間という無駄な時間をなくす。
実施した内容
業務の効率化を図るために、excelファイルでの管理はやめて、クラウウド上のデータベースを使って管理することとしました。
そこで、社内の一部部門で使い始めたキントーンを使って業務アプリケーションを開発することとしました。
キントーンの業務アプリケーションは開発以下の流れで行なっています。
- STEP1:業務フローの作成
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日常的に行なっている業務を分析、以下の大きなかたまりに分類し、それぞれの業務フローを作成。
- 新規申込
- 機器故障時の対応、機器貸し出し、機器の棚卸
- 解約処理
- 請求処理
- STEP2:システム化対象業務の洗い出し
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STEP1で作成した業務フローをもとにシステム化対象業務を洗い出し、業務の標準化とそれぞれ必要なデータを整理。
必要に応じて新しい業務フローを作成する。 - STEP3:データの正規化とデータベースの設計
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データの重複をなくし整合的にデータを取り扱えるようにデータベースを設計するためにデータの正規化を行う。
正規化したデータをもとにデータベースの設計を行う。 - STEP4:アプリケーションの作成
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STEP2で洗い出したシステム化対象業務と正規化したデータをもとにキントーン上にデータベースを作成し、それぞれのアプリケーションを作成。
- 案件管理(案件情報の登録と進捗状況を管理)
- 機器管理(在庫として保管している機器、顧客に提供している機器の管理)
→案件管理からマスターデータとして参照 - 顧客情報管理( 連絡先やサービスの利用状況を管理)
→案件管理からマスターデータとして参照 - 請求処理(月一回の請求書の発行に利用する情報)
- 問い合わせ対応(コールログとして顧客からの各種問い合わせを記入、顧客対応の進捗管理などを行う)
アプリケーション導入後の効果
- 案件管理、機器の管理、問い合わせ対応などの情報が紐づけできたことで、情報が探しやすくなり「あれはどうなっている?」に対して素早く回答できるようになった。
- 顧客からの問い合わせに迅速に情報を探すことができ、顧客の待ち時間を減らすことができた。
- excelを使っていた際に個人の裁量でコメントを入れたり、セルや文字の色を変えたりということがなくなり、ルール通りにデータの入力が行われるようになった。