失敗しない無線LAN/Wi-Fiルーター選び

買い替えのタイミング

Wi-Fiルーターは基本的にHDDやファンなどの稼働部分がないため(CPUを冷やすために冷却ファンがある機種もあります)、経年劣化という現象は基本的にありません。したがって、落として衝撃を与えて壊したりしない限りは、10年くらいは使えるようです。
但し、古い機種はセキュリティレベルが低かったり(WEPやWPAしか使えない)、通信速度が遅かったりする(IEEE802.11ac非対応など)場合があります。
また、Wi-Fiルーターの性能は年々向上しています。パソコンやスマートフォンを最新機種に買い換えた時や接続する端末の台数が増えたなどの際は買い換えを検討してもいいと思います。

選び方のポイント

Wi-Fiルーターを選ぶポイントはたくさんありますが、とりあえず以下の4点を押さえておきましょう。

通信規格

こちらの記事でWi-Fiの規格について説明していますが、5GHz帯で通信できるIEEE802.11ac (Wi-Fi 5)に対応している機器を選びましょう。
と言っても、ここ数年間で発売された機種はほとんど802.11acに対応しているので、かえって対応していない機種を探すほうが難しいと思いますが。。。
また、Wi-Fiに接続する端末によっては、5GHz帯の通信に対応していないものがありますが、通常は下位規格(n, g, b)互換となっているので、気にする必要はありません。

最近話題の最新規格のWi-Fi 6 (IEEE802.11ax)は、対応している子機(端末)が少ないので、導入にはまだ早いと思いますが、実勢価格として1万円を切っているものもあるのでこれを機にWi-Fi 6対応機器に乗り換えるのもありかもしれません。

電波が届く範囲

日本の電波法では、無線LAN(Wi-Fi)やトランシーバーなど「免許を必要としない無線局」の出力上限を定めていて、Wi-Fiルーターは10mWが上限となっています。各メーカーとも上限の10mWに出力を設定しているため、概ね50m〜100mの範囲で電波が届きます(ハイパワーとうたっていても10mWを超える電波の強いものはありません)。
住宅での通信範囲は、戸建てであれば2階建て、マンションであれば3LDKが平均的な距離となります。

それではなぜカタログやパッケージに戸建2階建/3階建とかマンション3LDK/4LDKなどの記載があるのでしょうか?
実は、その差はアンテナの性能やアンテナ数によって発生します。同じ出力でもアンテナ数が多い方が一般的には広範囲に電波が届くと考えていただいてかまいません。

据置型の無線LANルーターには、外部からアンテナが見えない「アンテナ内蔵タイプ」と、外部にアンテナが突出している「アンテナ外付けタイプ」があります。
電波はアンテナから垂直方向に同心円上に伝わっていくという性質があるため、外付けアンテナがある場合はアンテナの角度をいろいろと変えてみることで、電波の届かない死角を減らすことができます。
現在お使いの機器で電波が届かない場所がある場合は、買い替えの際にアンテナ数が多いものやアンテナ外付けタイプを選んでみるのもいいかもしれません。

最大通信速度

最大速度は、あくまで計算上で出された理論値であり、実際にインターネットを利用するときは理論値の半分から3分の1程度になる場合が多いです。ただし、最大通信速度の値が大きいと、実測値もそれに比例して大きくなるため、Wi-Fiルーター選びに迷った場合は最大通信速度が速い製品を選ぶと良いでしょう。
また、アンテナの数(ストリーム数ともいいます)が多い方が通信速度の面で有利です。

同時接続可能数

Wi-Fiルーターのカタログやパッケージに記載されている数字は、
おそらく
 人数 = 電波の届く範囲
 台数 = 帯の太さ(同時利用端末台数)
を表していて「台数」は端末を同時に無線接続した場合に、快適に通信できると想定される端末の台数、利用人数は一人当たり3台程度の端末を接続した場合を想定しているようです。

Wi-Fiルーターを利用する環境と人数を目安に選びましょう。
ただし、部屋の間取り、障害物の有無、通信量などによって通信できない場合もあるため、実際に利用する場合は、5GHz帯と2.4GHz帯に分散して接続することをおすすめします。

なお、オフィスなど広いエリアで大人数が使う場合は、1台でたくさんの通信端末をカバーするのは難しいため、通常はWi-Fiルーターを複数台設置します。

その他のポイント

Wi-Fiルーターを選ぶ際の4つの基本的なポイントを紹介しました。
次の記事ではWi-Fiルーターを選ぶ際のその他のポイントについて紹介します。