Wi-Fiコンサルティング事例

Wi-Fi不安定の解消のために「各部屋にまんべんなく電波を!!」

A氏は3LDKの自宅マンションので業務とプライベートで無線LANを利用していますが、通信の安定性に課題を抱えていました。
PCやスマホだけでなく、プリンター、テレビなどとWi-Fiを利用する機器が増えてきたため、アクセスの集中や混雑を感じるようになってきました。
また、接続機器を使う場所や時間帯によって、インターネットが途切れたり、遅かったりする事象が起きていました。

使用しているWi-Fiルーターは5年以上使っているため、最新機種への入れ替えと同時に各部屋にまんべんなく電波が届くような配置とWi-Fi環境を構築しました。

概要

  • 父母共働きとお子様の3人家族で、3LDKのマンションを自宅兼オフィスとして利用
  • 父親は自宅で仕事、母親はオフィスワークで週に1〜2日程度のテレワーク
  • Wi-Fiルーターを設置して5年以上使い続けているので最新機種に買い替えを検討中

困っていること・課題

  • 仕事で使っている洋室のWi-Fi電波が弱い(アンテナアイコンの線が1〜2本)
  • 特に部屋の奥に置いてあるデスクトップPCはダウンロードが遅く、Windowsのアップデートに時間がかかる
  • 洋室でビデオ会議を行う場合、音声や映像が途切れる時がたまにあり、ビデオ会議時はノートPCを持ち出して電波環境が良いリビングルームで行う場合が多い
  • 家族が在宅の場合は洋室で会議をせざるを得なく、かつドアを閉める必要があるため、電波環境の悪化が顕著である
  • 寝室でYouTubeを視聴しようとすると、映像が途切れたり、カクカクしたりすることがある

現状把握

旧ネットワーク構成

最初に現状のネットワーク構成を把握・整理しました。

旧ネットワーク構成

Wi-Fiルーターは3LDK全体のほぼ中心の天井付近の理想的な場所に設置されていました。

Wi-Fiの電波状況を把握するために信号強度を計測し、ヒートマップを作成しました。
(緑色が電波が強く、黄色から赤になるにしたがって、電波が弱くなります)

Wi-Fiルーターが古いこともあって、Wi-Fiルーターから離れた場所の電波の減衰が大きいことがわかりました。

特に洋室と寝室は電波が弱く(ほぼ黄色の)概ね61〜65dB程度ということがわかりました。
これはドアや壁などの障害物で電波が遮られているのが原因と考えられます。
その証拠に壁やドアなどの障害物がないリビングルームはほぼ緑色で表示されていて、電波が強いことがわかります。
ビデオ会議やYouTubeなど動画の再生では60dB以上あった方が快適と言われています。
(Wi-Fiの信号強度については、後日別記事で説明予定)
洋室や寝室で動画を快適に視聴するためには、電波状態の改善が望ましいことがわかりました。

接続端末について

ヒアリングの結果、以下の台数の端末がWi-Fiに接続されていることがわかりました。

ノートPC×4、デスクトップPC×1、スマートフォン×4、iPad、クロームキャスト(TVでのYouTube視聴用)、TVレコーダー×2、ゲーム機、ペットカメラ、スマート家電(電灯、スマートプラグ)×5

一度にすべての端末が通信することはありませんが、多くの端末が同時に利用するとアクセス集中や混雑が原因で映像や音声が途切れることが発生するようです。

解決策

「各部屋にまんべんなく電波を!」を目標にWi-Fiルーターの機種と設置場所を選定しました。

まずWi-Fiルーターを旧機種と同じ場所に設置したところ、古い機器よりは電波状況が改善されました。
しかし、Wi-Fiルーターから一番遠い洋室の隅はまだまだ電波が弱いようです。
このままではデスクトップPCの電波状況はあまり改善されません。

そこで、洋室横の玄関付近に設置したところ、洋室の電波状況は改善しました。
しかし、リビングルームは逆に電波状況が悪化してしまい、動画再生にはあまり良い状況とは言えません。

そこで、負荷の分散も兼ねてWi-Fiルーターを1台は業務用、もう1台をプラーベート用に分けて2台設置することにしました。

Wi-Fiルーターを2台設置した後の電波の状態を測るとすべての部屋にまんべんなく強い電波が行き届いています。

結果と考察

  • Wi-Fiルーターは以下の目的で2台設置
    • 負荷分散の目的も兼ねて業務用とプライベートに分ける
    • 3LDK全体にまんべんなく電波が届くように2台がそれぞれ別々のエリアをカバー
    • 今後の接続端末の増加時の拡張性
  • 全体にまんべんなく電波が届くようになったため、映像の途切れがなくなり、ダウンロードもスムーズになった
  • 複数の端末で同時に動画視聴をおこなっても問題がなくなった

今回の事例では諸事情によりWi-Fiルーターを2台設置しましたが、通常は1フロアであれば1台で問題はありません。

しかし、戸建の2階建や3階建で家中に電波を届かせたい場合は、Wi-Fiルーターを複数台設置するかメッシュWi-Fiなどを利用するのが良いと思います。
また、接続端末が15台以上ある場合は業務用や高スペックの機種を選ぶ必要があります。

Wi-Fiルーターの金額は数千円~5万円程度と幅広く選ぶことができますが、高ければよいというわけでもありません。
それぞれの使用用途(仕事orプライベート)、環境(家の広さ)、人数に合ったものを一番ベストな場所に設置してこそ、そのWi-Fiの機能が生かされより便利なスマートライフを実感できます。

今回設置したWi-Fiルーター

①プライベートネットワーク側
製品名:NEC Aterm WG2600HP3
特徴:1733+800Mbps、内蔵アンテナタイプ、接続端末台数 18台、使用人数 6人

②業務用ネットワーク側
製品名:TP-LINK Archer AX-10 Wi-Fi6ルーター
特徴:Wi-Fi6対応。1201Mbps(5GHz)+300Mbps(2.4GHz)、外部アンテナタイプ(4本)

※2020年の最新の機器の事例です。