失敗しない無線LAN/Wi-Fiルーター選び(応用編)

前回の記事では、Wi-Fiルーターの買い替えのタイミングと押さえておくべき4つのポイントについて紹介しました。
今回の記事では応用編としてWi-Fiルーターに搭載されているその他の機能についてご紹介します。

通信の高速化や安定性に寄与する機能

通信の高速化や安定性に寄与している機能として主に以下のものがあります。カタログやパッケージを見る際の参考にしてください。

MU-MIMO

MIMOとはMultiple Input Multiple Outputの略語で、複数のアンテナを使用してデータを同時に送ることにより、無線LAN通信を高速化させる技術です。通常の通信では、送信側・受信側に1本ずつのアンテナを使用しますが、それぞれの本数を増やすことで、電波の安定化を図ります。MU-MIMOはMulti User MIMOの略でIEEE 802.11acから新たに取り入れられたさらなる高速化のための技術ですが、MU-MIMOに対応している端末が必要です。

ビームフォーミング

ビームフォーミングもMIMO同様に通信速度の高速化と安定化のための技術です。スマホなどの端末の位置や距離を判別し、各端末で最適に電波を届けるように調整する機能です。

IPv6(IPoE)対応

インターネットの普及により、IPv4と呼ばれている従来のインターネット企画によるIPv4アドレスの枯渇(不足)が数年前から問題となっています。IPv6とは次世代インターネット規格としてIPv4に代わるものとして開発されてきた新しい接続方式です。
IPv6は接続方式の改善や伝達速度の安定などにより、IPv4に比べ通信速度が非常に速くなりました。また、利用者が増える夜間でもIPv4回線に比べ速度が落ちずに利用できる点も大きなメリットです。

したがって、IPv6に対応した無線LANルーターを使うことは、通信速度の向上が見込まれます。但し、インターネット接続用ルーター(あるいは光回線モデム)がIPv6に対応している必要があります。

有線LANの速度

無線LANルーターにもLANケーブルをつなげる有線端子がついており、インターネット接続用ルーター(あるいは光回線モデム)と有線LANでつなげてインターネットを利用できるようになります。
例えば、1Gbpsの高速の光回線を契約したとしても、Wi-Fiルーターの有線端子やLANケーブルがその速度に対応していなければ意味がありません。有線LANを使う予定のある方は、Wi-Fiルーター購入前にスペックを必ず確認するようにしましょう。

その他の機能

ゲストSSID

ゲストSSIDとは、名前の通りゲスト(お客様)にWi-Fiを使わせるために使うSSIDです。接続時間を設定したり、セキュリティの観点から接続可能なLANを分けて社内LANのリソースにアクセスできなくしたりすることができます。

USBポート

無線LANルーターにUSBポートがついている機器もあります。このUSBポートにHDDなどの記憶媒体を接続すれば、NAS(Network Attached Storage)つまりネットワーク上の共有の記憶媒体として利用することができて便利です。

ペアレンタルコントロール機能

自宅でインターネットを使う場合、お子様のインターネットの使い過ぎや有害コンテンツのアクセスが気になると思います。
無線LANルーターには、接続端末毎に時間帯による接続制限機能を設定してネットの使い過ぎを防ぐことができる機能や、Webのフィルタリングで有害コンテンツをブロックすることができる機能が利用できる機器もあります。

今回は無線LANルーター選びの応用編として、いくつかの機能を紹介しました。
メーカーや機種によって使える機能や使えない機能がありますが、無線LANルーターを選ぶ際の参考にしてください。

無線LAN通信のエリアを拡大するための技術として、メッシュWi-Fiというものがあります。
次回はメッシュWi-Fiについての説明と中継器との違いについて解説します。